前記事の続きです。
「アロマ」は形がなく、見えにくいので分かりにくい。
けれども体に悩むことがあれば、本物の精油の香りは非常に大きな影響をもたらすことがあります。
それが「香りの力」です。
香りは、例えば、出店の食べ物の匂いを嗅ぐと唾がわいてくるように、体のシステムを刺激し、特定の反応を引き起こします。
植物の作り出すのが「芳香分子」と呼ばれる化学物質。香りのある化学物質なのです。この自然で作られる化学物質が、私たちの神経系や、身体をコントロールしている内分泌系に働きかけ、様々な作用をもたらすのです。
かつて私は、香りの力によって大きな衝撃を受けました。パニックの発作が何事もなかったかのように引いたとき、人生が変わりました。
そんな体験をした自分にしか伝えられないことがあります。
さて、アロマテラピーをイメージしやすくしたいと思います!
精油を素材に例えると、アロマテラピーが分かりやすくなります。
精油を果物だとイメージしてください。
身体に使える品質の精油は、化粧箱に入っているような果物。
アクセスが簡単なアロマショップで買えるものは、スーパーで並んでいる果物。
合成香料が入っているものや明らかに人工の香りのものは、砂糖がたっぷり使われて果実を使っていないフルーツ味のジュース。
それぞれ叶うことも変わります。
単に味を楽しみたいのであれば、フルーツジュースでもいい。
ビタミンを取りたいなら、生のフレッシュな果物。
味も香りも最高なのを求めるなら、化粧箱入りの果物。
果物をどう使うかによっても、素朴なカットフルーツから芸術的なフレンチのフルコースに出るようなデザートまで様々なものが作れます。
どうでしょう?
果物を例にとりましたが、すこしイメージができたでしょうか?
アロマテラピーは、どちらかというと、化粧箱入りの果物を手の込んだデザートに仕上げるようなものです。
どの果物を、どの素材と組み合わせ、どう調理するか。
アロマショップで並んでいる精油は、素材です。
調理の仕方を知らなければ、つまり適切な使い方を知らなければ、香りの力を効果的に用いることができないのです。
使い方が良くわからない素材だけが手軽に手に入ってしまうので、これも「アロマテラピーの分かりにくさ」につながっていると、私は考えます。
アロマテラピーの教室は、以前人気を博した時期がありました。手間のかかる「手作り」が敬遠されがちになってきた昨今、その市場の規模は徐々に小さくなってきています。
手軽に本格的なものを手に入れる、そんな時代の流れになりながらも、私は「手仕事」「手作り」を伝える仕事を選びました。
そこにしかない価値があると、信じています。
一人一人寄り添う香り作り、精油の調合の技や知識は、どんなに便利な世の中になっても絶やしてはいけないと思います。